寝るときのマノスベの姿勢
最近ある鍼灸師の方から、現代の女性は胸式呼吸しかできない人が多いと聞きました。それは、空気が悪いので細胞の判断で呼吸を自ずと浅くしている場合もありますが、多分に腰を反らした前傾姿勢だから胸式呼吸になってしまうのだと思います。
マノスベの姿勢で立つか座るかすると、自ずと腹が前後して腹式呼吸に変わります。イキとはイノチの発生という意味もあります。腹式呼吸の為にもマノスベの姿勢は大切なのです。
今回は寝るときに自ずとお腹が上下してくれるマノスヘの姿勢をお伝え致します。仰向けで布団に寝た時に、楽にお腹がスムースに上下していなければ、眠りは深くなりません。
それでは枕を外して菱形筋を寄せて、両肩甲骨をできるだけ寄せてみましょう。すると、うなじ(首筋)が真っ直ぐになって、枕は不要になります。そのまま肩甲骨を寄せたり緩めたりしてみて下さい。菱形筋は深層筋ですから、様々な筋と繋がっています。そこで強めに寄せてみると顎は上がり、膝が引き寄せられて、鼠径部が緩むことが感じられるでしょう。
実際に膝が少々持ち上がりますから、膕(ひかがみ・ひざの裏側のくぼんでいる所)から踵のキワ辺りに柔らかい枕を入れてみましょう。この姿勢は立ったときの姿勢に似ていますから、マノスベの姿勢は立った時にも腰掛けた時にも、肩を後方に持っていくことの大切さが解るでしょう。
この姿勢でいると、自ずと腹が楽に上下することが解るでしょう。(試しに頭の下に枕を入れて比較してみたならば、枕があると呼吸が不自然になることが解るでしょう。)
では、呼吸にミを入れて(意識を向けて、心地良く感じて居る)みて下さい。普段とは違う首筋や肩の位置ですから、慣れない内は痛くなるかも知れませんが、腹式呼吸に変えていくマノスベの姿勢です。試みてください。
なかなか寝付けない人は、寒かったり、頭が興奮していることもありますが、肩甲骨が開いて両肩が前に出て、不自然な呼吸になっているからかも知れません。
因みに横向きに寝る場合でも、楽な腹式呼吸になるように姿勢を色々と工夫してみて下さい。
その一つですが、しゃがんだ姿勢を横に向けて寝たイメージです。そして足を背屈(足先を甲側に反らす)してみましょう。呼吸がとても深くなるでしょう。
何故、仙骨呼吸ではないのかと思うかも知れませんが、仙骨呼吸は歩く時などにする意識した動き、ミを入れた動きなのです。寝ているときは、背中側ではなくお腹側が動くのです。